集客が上手く行かなかったホールの打開策として、低貸し(5スロや1パチ)で勝負を検討するホールも多いかと思います。
しかし、何の戦略もなく低貸しを設置したとしても、結局利益を損なうだけで終わってしまうでしょう。
今回は、過去に実際に見た事例を交えながら、低貸し設置を行うために必要なことについて解説していきます。
※2015年に公開した記事を再編集してアップしています。そのため、現在の情勢と違う部分があるかと思いますが、考え方は使えるはずです。ご了承ください。
低貸し設置による集客「成功事例」と「失敗事例」
今では、パチンコ、スロットともに低貸しが認知され、稼働が付いているホールも多くなってきました。
低貸しによる集客を考えるにあたって、過去にどのような変化があったのか確認しておきましょう。
過去の状況を見てみると
- 初期:まだ低貸し自体が少なかったので、それ自体がウリになった
- 中期:低貸しが広まったため、それ自体ではウリにならず、低貸しに最新新台を導入することで集客効果を上げるホールが増えた
- それ以降:最新台の導入を行うホールも増えてきたため、集客効果を上げるには出玉や交換率なども影響してきた
上記のような変遷で、低貸しが認知されていきました。
ここで、少しホールの経営について確認しておきましょう。
ホールを経営するには、利益を上げ続けなければいけません。
その場合単純計算で5スロ、1パチならば、4倍の利益を上げられないのであれば、低貸し設置は失敗となります。
※低貸しで集客が成功し20スロ、4パチの稼働が上がるならそれはアリ
単純計算をすると、利益面においては、集客が4倍を超えるようになって初めて低貸し化が成功と言えるわけです。
ただ、集客が4倍になっている時点で、店内の活気が取り戻されているはずなので、状況としては良くなっており、今後の伸びが期待できるホールになっていると言えるでしょう。
参考までに、実際に見た成功例と失敗例がありましたので見てみましょう。
低貸し設置による集客、売上成功事例
このホールが低貸し設置に踏み切ったのは、冒頭に記載した「中期くらい」であったと思います。
状況としては、以下の通りです。
- パチンコは昔からの常連が多く、稼働状況も良好(非等価)
- スロットはあまり稼働が良くない状況
- 店舗は住宅地の駅前
- スロット遊戯者は、1駅となりの大型店に行っている模様
このような状況の中で、5スロ、1パチを導入(両方等価)しました。
1パチは、そもそもパチンコの稼働もついていたため高稼働。
5スロは最新台も適度に導入していったため、徐々にお客様が増え始めます。
※20スロにない最新台を入れることも多い
この結果起こったことは、
- もともと地域密着ホールでパチンコ海物語の常連であるご年配の朝の並びに、5スロ新台目当ての客が加わった
- 5スロには積極的に設定を入れているようで、5スロ目当てのお客様がどんどん増えだした
- その影響からか20スロの稼働も上がり出した
このホールは5スロに稼働が付くまでは、5スロの利益は薄利だったように思えます。
5スロだから4倍利益を上げるのではなく、5スロで集客し20スロと4パチで利益を上げていたのです。
最終的には5スロの利益も上げていますが、比較的設定も入れ続けることで遊べるホールと認識されたため成功した例です。
ただ、現時点においては、大型店も低貸しを導入してきたため、一時期よりは稼働は落ちていますが、2020年現在もなんとか経営を維持しているようです。
低貸し設置による集客、売上失敗事例
このホールは5スロで失敗した例です。時期としては成功事例と同じく「中期」あたりであったと思います。
状況としては、以下の通りです。
- 駅前ホールでありながら、かなりの閑散ホール。
- あまり多くのお客様がいない状況で、郊外店にお客様を持っていかれている模様
このような状況の中、打開策としてリニューアルオープンをしたのですが、その際に20スロをすべて5スロにしました(非等価)
それまで20スロであったため、新台も旧台もそのまま全て5スロで遊べてイケると思ったのでしょう。
しかし結果は、
- 閑散店が迷走しているような印象で集客効果もたいして上がらず
- 交換率ギャップを打ち手が敬遠
- 20スロを無くし4倍の利益を上げないといけないため設定も入れられない
このような状況であったため、また20スロに戻しています。
※2020年現在では、20と5スロ、4と1パチの併設
これは明らかに迷走であり、完全に失敗した事例です
ホールの作りもかなり綺麗なホールであるのに、ここまで閑散としていて迷走状況が周りから分かるようだと、立て直しにはかなり苦労すると思います。
非常に勿体ないホールです。
低貸し導入による集客を成功させるために
今現在では、低貸しが浸透している状況となっています。
今から低貸し化を行うことで集客をするには、しっかりとした事前の調査が必要であると言えるでしょう。
低貸し導入だけに関わらず、経営方針を転換する際には、思いつきでやっているようでは成功しません。
もちろん、ひらめきなどは大事にしたいところではありますが、それだけに頼って経営しているようでは、社員などはたまったものではありません。
では、どのようにして経営方針を決めていくべきなのでしょうか?
今回は、低貸し導入に絞って解説していきたいと思います。
何よりも大事な調査と分析
最終的にお金を落としてくれるのは、お客様です。
このことを見落としたり、軽視しているようでは、経営が上手く行くことはありません。
「お客様が来店したくなるような店舗が、どのような店舗であるのか?」というところを、最終的には突き詰めて考えていく必要があるのです。
その答えにたどり着くためには「調査、分析」が欠かせません。
調査するのは、以下の3つの項目です。
- お客様状況
- 近隣店の状況
- 自店の状況
上記について、調査、分析が必要なのです。
お客様状況に関しては、以下の記事を参考にしてみてください。
パチンコ屋集客|競合店が集客出来ている理由に、もっと貪欲になるべき!
簡単にまとめてしまうと、「打ち手がパチンコ店に行く理由」を作り出せないような低貸し設置であるならば、かなりの確率で失敗するということです。
お客様に関しては、地域性なども出るでしょうし、店舗の立地なども影響します。
あなたのお店がどんな状況に置かれているのかを踏まえて、お客様について調査、分析を行っていきましょう。
次に近隣店の状況です。
一番やってはいけないのは、近隣店が低貸しで稼働が付いているという安易な理由での低貸しの設置です。
閑散店が既に集客できている店舗の表面上だけ真似しても、まず勝ち目はないのです。
全部真似できる資金があるのであれば良いですが、おそらくそうではないはずです。
次の項目にもつながりますが、ライバル店舗の状況をしっかりと調査、分析して、勝ち目のあるところで勝負をしていかなければ、低貸し設置の意味はないでしょう。
最後に、自店の状況です。
結局のところ、「打ち手があなたのお店に行く理由」を見つけらていないため、集客ができていない状況です。
まずは現状をしっかりと受け入れるためにも、現状の自店について把握することが重要です。
ライバル店と比較して、どこが劣っているのか?どの部分なら勝てるのか?
まずは、現状を知ることから始めましょう。
調査、分析のあとは戦略!
ある程度の調査、分析が終わったら、次は「集客戦略」です。
「打ち手があなたのお店に行く理由」を見つけられれば、お客様は来店してくれます。
問題は、自店に「どんな理由を持って来店してくれるようにするか」ということになります。
ここで、ライバル店の調査が生きてきます。
ライバル店がやっていない部分を見つけていくのです。
ライバル店がやっていないことで、かつお客様の来店理由となることを中心に戦略を練っていきます。
- 低貸しには新台が入らない⇒低貸しに新台を入れる
- 低貸しの台数が少ない⇒バラエティーに富んだ低貸し機種
- 低貸しのラインナップが弱い⇒集客力の高い台を低貸しにも設置
- 台移動ができない⇒台移動が可能
- 設定が入っていない、釘が悪い⇒設定を入れる、釘の状況が良い
- 設定のくせが分かりにくい⇒設定のくせが分かりやすい
他にも、店員の接客や、ご年配の方への対応など、スタッフの教育に関わる部分もあるでしょう。
特に低貸し設置となるとご年配の方も増える傾向にありますから、スタッフの対応次第で、常連客になってくれるご年配の方も多いのです。
パチンコホールとして見逃しがちですが、ご年配の方は「話がしたい」という理由でホールに来ている方が一定数います。
まさに「打ち手があなたのお店に行く理由」です。
ぜひ参考にして、戦略的に集客につなげていってください。
その他:低貸し化のポイント
低貸し化を行うと、単純に4倍以上の集客が必要であることは、冒頭でもお伝えしました。
今までの4倍以上ですから、達成できるかどうかは、未知数と言えるでしょう。
そのため、いくつかのポイントを抑えておくことで、リスクを回避していくと良いでしょう。
ポイントは、大きく分けると2つです。
- お金に関すること
- ライバルに関すること
「お金」に関しては、極力かけない方向で戦略を練っていく必要があります。
お金をかければかけるだけ、集客力を上げなければいけなくなるからです。
ましてや、低貸し化した時点で、既に4倍のノルマが課されている状態ですから、やはり出費は減らしたいのです。
出費を減らすことができれば、集客が4倍以下であっても、低貸し化が成功になることおあるでしょう。
では、具体的に「お金」の面で気を付けたいのがどの部分かと言うと、
- 新台導入費
- 人件費
この2つです。新台導入に関しては、低貸しで回収していくにはリスクが高すぎます。
そのため、潤沢な資金がないのであれば、「最新台が低貸しで最速で遊べる」というウリを作って勝負するのは、リスクが高いと思います。
また、大手が参入してきたときに、まず間違いなく負けます。
稼働が付く機種を厳選して、長く使うことで利益を上げていく方向性が良いかと思います。
次に人件費です。
人件費が削れれば、出費はかなり削れます。
そのためにホールの設備として、最優先したいのが「各台計数機」です。パチンコもスロットも、「各台計数機」があるだけで、人員を減らすことが可能となります。
「呼び出しボタンを押してもなかなか店員が来ない」というのは、お客様としてもストレスがたまるだけでなく、スタッフへのクレームにもつながりやすくなります。
ならば、呼ばれる回数を減らす方向にもっていった方が良いでしょう。
低貸しこそ、「各台計数機」の導入を早めに行っていくと良いでしょう。
低貸しによるパチンコ屋集客まとめ
最初にこの記事を公開したときの状況とは異なり、現時点では、低貸し化による集客は、かなり戦略的に行わなければ厳しい状況であると言えるでしょう。
仮に一時的に低貸し化に成功したとしても、長く集客を続けられなければ、元の状況より利益を上げられなくなることもあります。
また、ライバルが同じことをやってきた場合に、お客様を持っていかれる可能性だってあるのです。
そのため重要となるのは、「自店でしかできない、真似できないこと」で集客につなげ、維持することなのです。
低貸し化を行うのであれば、今回の記事を参考にしていただければと思います。